2009年11月

   …実生があり枯れ行く木々があり すべては朽ちてまた蘇る 
そんな当たり前の営みが森の顔を作ります…で、始まる拙著『森の時間』。

   読者の皆さん、もう一度引っ張り出してゆっくり頁をめくって欲しい。森に通うほどに、ゆっくりめくって欲しい。持っていない人は勿論なくしちゃった人も再度手に入れて(笑)。きっと“あなたの森”が近くなる。

三千回の森学
   森の細流にはたくさんの落ち葉がたまる。
   その落ち葉の一つ一つに「物語」があることを知っていますか皆さん?
色や形の違い、どんな葉っぱがどれだけあるかを知るだけで、ここがどんな森で上流にはどんな森が広がっているのかわかったりする!

   落ちた葉っぱの表情は月日のアリバイを語り、森環境を物語るのです。
俺なんか小さな風が通っただけで森のウン百年を想うんだからねっ(笑)

   ところで、紅葉狩りの皆さん!あっちこっち行きました?
秋をめでる人って虫食いの紅葉を「きれい」なんて言わない、ましてや
「美しい」なんてとても…だよね。「ちょっと待ちんしゃいアンタッ!」
この「虫食いの葉っぱ」俺にはたまらなく愛しく美しい存在なのです。
   森は万象すべてが生命(いのち)を繋ぐ、“命のアリバイ”ですよ。
森はね命が宿っているから美しいのです。きれいなだけじゃダメ!

   なぜか人はコンクリートを美しいと言うが「土」を美しいと言わない。
贋物に命が宿るとすれば人世の情念?…ぐらいでしょうかね(笑)

   ブナの落ち葉が土に還るまで5,6年という。お酒じゃないけど三年物、
四年物…なんてのが足下で味わい深く眠ってるわけです。
が、ホオノキの落ち葉なんてのは一年もすりゃ消えてなくなる。
あんなでかいのに不思議でしょ!だから森は人知を超えて楽しいのです。

 森がくれるご褒美、それを「仕合せ」と言う。
俺は升沢の森に3千回(おおよそ)通ってるが、同じ森に出会った事はない。
   今日の森は二度と見れない、どんな日も二度と戻らない。だから今日一日の五感をいっぱい愉しむのです。その想いは間違いなくあなたの心と身体に返ってくる。森は瞬間の連続で今をつなぐ…いいな〜と感じた瞬間
…それがあなた江の森のご褒美です。

   ただねっ、最近の森は人を選ぶんですよ!?
つまり「ご褒美」を感じない人がいる!自分がツマンナイのに森がツマンナイとカン違いしてる人です(笑)、ちょっと五感が錆びてるわけですね。
幸い、我が「森の時間」には「仕合せ人」がいっぱいでございます。

   真顔の皆さ〜ん、森に入ったら筋肉緩めようね!
街を世相を引きずっちゃダメよ、老若男女、肩の力抜いてさ。
愉しむべきは己の五感と想像力のみ!なんだから…。